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Q透析中ACT測定を行う場合,サンプル採取場所(部位)はどこからがいいですか?

(臨床工学技士 匿名希望 大分県)より


A 脱血(動脈)側から採血をおこない,凝固試験する方がよいです。

※ ACT測定は,通常ヘパリンに用いる検査の為,抗凝固剤はヘパリン(全身ヘパリン化法)での解説になります。

           

測定する目的は,回路内の凝固状態ではなく患者体内が持つ凝固状態時間測定するためです。
測定に適した採取場所(部位)は,できるだけ患者体内の血液を直接採血できるところになります。

ACTについて補足
透析を含む体外循環でACT(凝固時間)は,患者自身が持つ凝固能を時間で評価した試験です。
体外循環中に凝固を起こさせないように評価する為に用いることが多いです。
※ ヘパリンの過度の投与は、出血の助長などの危険性があり、また少なすぎれば凝固をさせてしまうことにもなります。
  ヘパリンの拮抗薬であるプロタミンの投与の算出指標にもなる為、とても重要な試験と言えます。
ヘパリン:プロタミン=10:9


ではなぜ、返血(静脈)側では、誤差が多くて採血に適していないのでしょうか?


凝固能は 透析をされる方々の状態や負荷,個人差により凝固能に違いや変化があります。

返血(静脈)側では,持続投与による抗凝固剤に曝露され除水空気異物への接触など血液回路内での血液への負荷はどうしても避けられません。

その為,より正確に患者体内の凝固時間を測ることは難しいと言えます。

☆ 抗凝固剤が全身に分布し均一化した時に抗凝固剤の作用効果や凝固時間,投与量の評価ができるのです。
(※ 一度 惹起された血液は,凝固能は促進されますので誤差要因になります。)

体外循環時に凝固を起こしやすい原因については“ヘパリンについて知りたい”に載せていますので参照してください。


Q&A”ヘパリンについて知りたい”

余計なストレスを可能な限り避けた場所(部位)での採血が必要になるのです。

以上の理由より,サンプル採取部位は,患者体内の凝固状態を反映しやすい脱血(動脈) で採血する方が、返血(静脈)側よりも誤差となる 原因が少ないからです。

つまり,脱血(動脈)側で凝固試験をすることで患者体内の持つ凝固時間をより近い値でみることができるのです。(近似値ですね

また,サンプル採取部位脱血(動脈) 回路のヘパリン注入部位よりも、より近位の方が望ましい。

※抗凝固剤 ヘパリンについて(追加コラム)
通常全身ヘパリン化法は アクセス針から注入して3~5分待って、ヘパリンを体内に分布させてから透析を開始する方がよい。
(体内血液が抗凝固されるまでの時間)ヘパリン化されていない血液がしばらくの間,ダイアライザにポンプで送り込まれ続けることに なるからです。
(一度,惹起された血液は,凝固能は促進されますので誤差要因となります。)

追記(補足)
メシル酸ナファモスタット(フサン・コアヒビターなど)は全身化抗凝固法ではなく、局所抗凝固法です。

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