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Q リンについて知りたい。


A リンは生命予後に深く影響を与える上、一時的な高リン血症による特徴的な症状がない。


腎機能が正常範囲の患者でさえも、血清Pの軽度上昇を伴うと心血管リスクが上昇することは知られている。

透析患者にとって Pの管理はとても重要な課題になるのです。

なにより、一時的な高リン血症による特徴的な症状がないことが管理し難い要因とも言える。
透析によって Pを積極的に除去していくことが当然、必要になってくるのです。
※生体がリンを排泄には、尿が最も効率が高いが、腎不全では尿を生成することが出来ない。


もちろん、それだけでなく、Pリンが多く含まれるタンパク質制限が腎臓不全保存期の段階に続き、透析患者にとっても必要になります。
一般的に 1.0~1.2g/kg/day程度のタンパク質制限を行うことが望ましい。

それだけでは、栄養に対して障害となることも考えられる為、難しいといえます。

リン管理が難しい場合では、消化管からのリン吸収を抑制するP吸着薬が必要になってきます。



2012年における(社)日本透析医学会(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン)より 血清Pの管理目標値が発表されました。 <日本透析医学会のサイトへ移動←
※下記の表に引用抜粋したものを載せています。

リン管理目標値3.5~ 6.0  mg/dL
カルシウム管理目標値8.4~10.0  mg/dL
intact-PTH管理目標値 60~ 240  pg/mL


目標値内に抑えるために、食事、透析、ビタミンD、リン吸着薬、カルシウム製剤などの多角的に考慮する必要があります。
特に、リン吸着薬にも関係するカルシウム管理も重要な項目の一つとなります。


管理では・・・・血清リン、血清カルシウム、intact-PTHの順に考慮することが望ましい。

むやみに intact-PTHを下げようとすると、リン、カルシウム値を上昇させてしまうジレンマに陥り 、動脈硬化や血管石灰化などが大きく影響を及ぼすことになるからです。
P: リン (phoshorus)
生理作用
  1. 骨、歯の主要な成分。(Ca Mgとともに)
  2. ATP、クレアチニンリン酸などの高エネルギーリン酸化合物として
  3. 代謝中間体を形成
  4. 核酸、補酵素の構成成分
  5. リン脂質、リン蛋白質の構成成分
  6. 浸透圧、酸塩基平衡の維持(リン酸塩として)

  7. ※ ATP:アデノシン三リン酸・・・生体内でエネルギーの貯蔵、運搬をする。
体内分布健常人成人男性 500g程度
骨・歯 80%
リン脂質、核酸、リンタンパク質 10%
代謝中間体、その他 10%
血清無機リン 2.5~4.5mg/dL
吸収無機リン酸として腸管から吸収、活性型ビタミンDの働きによって吸収促進。
排泄主に、第一リン酸塩として尿へ排泄
調節吸収の調節は活性ビタミンDによる。
パラソルモン(副甲状腺):尿細管でのリン酸の再吸収を阻害し、血漿リン濃度低下

カルシトニン(甲状腺):骨からのリンの放出を抑制、腎からの排泄促進(血漿リン濃度減少)
欠乏症リン酸は食物中の含有量が多い為、欠乏症は起こらない。
所要量健常人成人  700mg/day
多く含む食材乳製品、肉類、穀物など

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