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Q  インジェクションパッドの外すタイミングはいつですか?

(看護師 KN 大阪府)


A  二次止血が十分に担保できると分かったタイミングが理想的ですが・・・

※止血後のインジェクションパッドの外すタイミングに関する文献およびガイドラインの明確な記述はありませんでした。

■抜針直後の止血■
  一次止血(血小板血栓)であれば,圧迫綿を使用して,下記の参考値での圧迫で止血は可能かと思います。そのあと,目視で出血が確認できなければ圧迫綿を外します。※止血操作には,インジェクションパッドと止血綿を使用しているとしています。



バスキュラーアクセス止血時間
内シャント5~10分
e-PTFEグラフト15~25分
ポリウレタングラフト10~20分
動脈表在化15~25分
動脈直接穿刺20~30分
静脈2~5分
静脈カテーテル10~20分


■透析後のパッドの行方■

インジェクションパッドの外すタイミングということであれば,二次止血に関する内容として回答します。
やはり,二次止血(フィブリン血栓:永久止血)を考慮する場合,血小板血栓の崩壊(再出血)を防ぐため,ある程度の時間はパッドに頼る必要があると考えます。

  止血が一次止血から二次止血に比重が変わってくるタイミングが理想的であると考えますが,測定できないため数値化することも難しく,明確に何分というのは回答しにくいと思います。

外因系血液凝固は比較的早い(約20秒以内)ですが,内因系血液凝固の進行は比べて遅く,20分以上必要となります。

圧迫綿による止血後は,上記の通りですが内因系血液凝固(血管内で凝固)に頼るところがあるため,さらに時間を要することになります。


  患者さんの状態,抗凝固剤の種類および投与量,留置針のサイズなどの条件により止血時間は変化します。また,入院患者(かつ透析患者)さんによっては,セロトニンが不足しやすい(トリプトファン不足)ので,血小板凝集反応にも影響を与えている可能性があります。
それ以外にも,血小板内アデノシンリン酸顆粒やトロンボキサンA2の合成障害により低下や内皮由来一酸化窒素の産生亢進によっても止血が障害される可能性があります。

シャント血流に影響がなければ,再出血を考慮し十分な時間を設けることは否定出来ないと思います。特に,患者のコンプライアンスが悪い(体動が多い,シャント肢圧迫などが多い)場合,再出血の危険性が高いことがいえます。
※インジェクションパッドの貼っている時間の汚染は無視しています。=穿刺前後に消毒を十分に行っているとしているため,2時間程度の有意差はないと考えるため。


以上より,
インジェクションパッドの外す時間のタイミングは1時間~2時間程度が適当であると考えます。
患者によっては更に時間が上下することに留意して止血操作を行う必要があります。

  病棟等においては,医療従事者の人数に限りがあり,また観察(監視)するため間隔があるため,シャント血流に影響なければ安全上の観点より,ある程度の時間を設定するのは必要だと考えます。※シャントの血流の程度はスリル,シャント音などで確認します。
また掲載している内容は,上記の通り個別症例による返答ではありませんのでご注意ください。当サイトは公的サイトではなく私的サイトとして扱われています。掲載内容は一般的意見(私的意見含め)の下で作成されているという点にご注意ください。医療上の治療変更などは,必ず医師に相談し従ってください。当サイトによるいかなる責任も負いませんのでご注意ください。


■まとめ■

(1)  抜針後の止血は上記表を参考値として止血を行う。
(2)  抜針後の止血用パッドは,透析後2時間程度で外す。
(3)  患者さんの状態などの条件により,安全を担保した上で時間を調整する。
(4)  シャント血流量が維持していることが重要



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