トップ>基礎>生体関係>透析中の紫外線について

Q  透析中の太陽光(紫外線)の影響について知りたい

(学生 T・M 茨城県)


A  影響がないとは言い切れません。紫外線もストレスの原因になると考えられます。

※透析中の紫外線からの危険性に関する記述された文献などを多く見つけることができませんでした。
(※もし,質問に対しての参考文献や著書などがありましたら教えてください。)



考えられる影響・・・・・
    ①  紫外線による影響
    ②  酸化ストレスの影響


私たちに降り注ぐ紫外線にはUV-AUV-BUV-Cの3種類に分けることができます。
それぞれ,地表に到達する量が異なりますが,基本的には生体にとっては,紫外線は有害とされています。(下図参照)


紫外線の降るイメージ図

本来紫外線に対して,生体は防御反応として皮膚表面にメラニンと云われる色素を皮膚表面に沈着させるのです。表皮より深部にある組織が紫外線の影響を受けないように防御するようになっています。 しかし体外循環中の血液回路内の血液は,皮膚のようにメラニンなどの防御反応を持ち合わせていません。

血液回路に用いられている塩化ビニルは皮膚のような代わりはできません。またUV遮断加工がされている回路かどうかは不確かだといえます。


(サングラス等に使用されるポリカーボネイトのような素材自体にUVカットができるように加工がされているかどうかは不明である。おそらく大多数がそういった加工はされていないといえるでしょう)


つまり,少量であれ,透析患者の血液は透析療法のたびに定期的に繰り返される光(紫外線など)に曝されている影響は無視できるとはいえません。


紫外線が有害な理由・・・・

その降り注ぐ光の紫外線は 蛋白やDNAを傷つけます。DNAの損傷(DNAのらせん構造を切断)だけでなく酸化ストレスも影響があると言われています。

UV-Cに関しては,地球を覆っているオゾンによって吸収されるため,基本的には地表に降り注ぐことはないといわれています。
しかし近年,オゾンホールが広がってきており(オゾン層が薄くなってきている)UV-Cが地表まで注ぐことが懸念されています。
UV-Cは,生体に対する破壊性がもっとも強く,皮膚では皮膚がんなどの発症の危険性が高いのです。日常生活でも紫外線対策をしましょうと云われているほどです。 少ない照射量でも皮膚がんになる可能性もあるのです。ですので,血液の話も同様で,まったく影響がないとはいえません。


なお,紫外線の波253.7nmが最も生体にとって有害とされています。

そのため透析医療で使用される紫外線殺菌灯などの波長は253.7nm付近であることが多い。

その理由が上記の説明の通り,最も有効に細菌等のDNA鎖を破壊することができ,死滅させることが出来るからです。

血液回路内に血液が流動的に動いていますが,この透析回路を介して侵入する光や紫外線に暴露されているには違いありません。繰り返される透析に対して紫外線の影響は完全に否定できないといえるでしょう。
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